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絽ざし 乱菊の帯を21世紀アートボーダレス展(2020年)に出品しました。

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昨年(2020年)、新国立美術館(六本木)で開催された、「21世紀 アートボーダレス展」に「白菊の袋帯」を出展しました。

ご案内葉書(片面)

ご難内葉書(片面)

私にとっては今までで一番、場面の多い作品でした。

図案は京都の先生から頂きました。

紆余曲折あって完成した時はとても嬉しかったです。

  • 一度、挫折した図案を、配色を変えてもう一度刺しました。
  • 毎週日曜日の深夜にインスタグラムに進捗をポストしました。
  • お太鼓が完成したら、三か月ぐらい無気力になりました。
  • 前帯は加工に出せるギリギリでようやく完成しました。
  • 袋帯は一度も締めていない手織りで、リバーシブルの帯の無地を使いました。
  • 絽ざしを縫い留めて頂ける職人さんをご紹介していただいて、とても丁寧に縫い留めていただきました。
  • 加工期間はギリギリの二週間で仕上げていただきました。
  • 思いがけない贈り物を頂きました。

一度、挫折した図案を、配色を変えてもう一度刺しました。

最初は「白菊」ではなく「黄色い菊」にしようと思って刺し始めました。

なかなか、気持ちがついていきませんでした。

黄色の花びらを何枚か刺して挫折してしまいました。

なぜ針が進まなくなってしまったのかは、今考えてもよくわかりません。

花びらは何枚か刺したので、そのまま暫く眺めていました。

黄色い糸で始めた「菊」はその部分を活かして別の作品に作り替えています。

まだ、完成していませんが今年中には完成させたいと思っています。

毎週日曜日の深夜にインスタグラムに進捗をポストしました。

図案が決まって、糸も十分間に合うくらいそろえたのに、実際に刺し始めたのは2020年2月中旬からでした。

この時、以前みた動画でお話されていることを思い出しました。

長期の目標がある時は「休んでいい日」を必ず決めること。

「休み」を決めることで、それ以外は「お休みの日にはリラックスする。」と思えるので、目標達成に「お休み」は必要と言うことでした。

毎週月曜日はお休みにしました。

予定していたグレーの帯地に置いて写真を撮っていました。

もう一つは、日曜日の夜にその週の進捗をインスタグラムにポストすることにしました。

これも、自分の進捗を冷静に確認するためです。

先が見えてきて気持ちばかりが前のめりの時期でした。

思ったように進んだ週と、頑張った割に進まない週があることが分かって良かったです。

インスタグラムに写真をポストすることの難しさも分かったような気がしました。

周りの方は作品を写真に撮るときは「自然光」を使って撮ると仰る方が多かったのですが、いかんせん、日曜日の深夜近くなので「自然光」は最初からあきらめました。

2月中旬から初めて6月の二周目でお太鼓の部分が完成しました。

ここで脱力しました。(苦笑)

お太鼓部分が完成しました。(約半年。週に一度のお休みを取りました。)

お太鼓が完成したら、三か月ぐらい無気力になりました。

自分でも無気力になることまでは想像していませんでした。

お太鼓の部分が完成したら、気持ちが「一息」ついてしまい、三か月ほど針が進みませんでした。

習慣として、一日に糸一本だけでも絽ざしをすると決めているのですが、小物は作れても、木枠に絽を貼ることも億劫で、貼れたら貼れたで図案を書くのが億劫で、黒川先生への甲北も「なかなか手が付けられません。」とお話することが多かったことを覚えています。

大きなものを作るときは、パーツがいくつかある時は、前回のように一つのパーツに集中して、無気力も想定しつつスケジュールを組むか、パーツを全部同時進行して、「ひと区切り」となるエアポケットを作らないようにするのがいいのか、いつか試してみようと思っています。

前帯は加工に出せるギリギリでようやく完成しました。

このまま針が勧められないような気がしながら刺していました。

前帯がようやく完成してホッとしたところです。

無気力になっている間に、三か月があっという間に過ぎて、お尻に火が付いた状態で前帯を刺し始めましたが、この時は気弱に鳴ったりして、帯ではなく「額装」にしようかと思ったりもしました。

9月末から前帯に取り掛かって、出来上がりは10月末近くでした。

前帯はインスタグラムにポストしませんでした。

作品展に出品するための作品なので、一部をポストすることはありましたが、全体をポストしてしまうと、作品展に差しさわりがあると困ると思ったので、全体をポストしませんでした。

公募展では「未発表作品に限る」という条件がある場合があります。

SNSへの投稿を「発表した」と捉えられるのかが分からなかったので、全体をポストすることは避けました。

袋帯は一度も締めていない手織りで、リバーシブルの帯の無地を使いました。

袋帯はもともとはそのまま締めようと思っていて一度も締めていない帯でした。

手織りの面は全体に銀糸が入った白地。もう片面は紬地でお太鼓と前帯にワンポイントの兎がいるライトグレーの帯です。

白地の袋帯にする前はグレーの名古屋帯にするつもりで帯地を既に購入していました。

ただ、進捗をポストするたびに帯地の上に乗せてみるものの「何かが違う」という気持ちにもなっていました。

グレーのお色味が絽ざしを乗せた時に暗い印象になっているような気がしました。

幸いなことに「白地の無地の袋帯」だったので未使用ということもあって変更して良かったと思っています。

絽ざしを縫い留めて頂ける職人さんをご紹介していただいて、とても丁寧に縫い留めていただきました。

過去に名古屋帯と袋帯を作っています。

その時は黒川先生に加工をお願いしました。

この時は先生に相談したところ、「どこにお願いしようかと考えているの。」というお話をされたので、困ったなあと内心思いました。

着物関連でお世話になっている方にお願いして、絽ざしを袋帯に縫い留めてくださる方をご紹介していただけませんかとお願いしました。

快く引き受けてくださって、職人さんとお目にかかることができました。

縫い留めると言っても、周りをぐるっと留め付けるだけではなくとても細かい作業が必要だと伺いました。

作品展の搬入日前に加工が出来上がるようにお願いしました。

思いがけない贈り物を頂きました。

2020年に新国立美術館で開催された「21世紀 アートボーダレス展 HANAGATAMI」 にて、優秀賞を頂きました。

「賞」をいただいたのは中学生の時の書道以来かもしれません。

絽ざしを習い始めて足掛け10年経ちました。

今まで「入選したい」とか「賞が欲しい」と思ったことはありませんでした。

意識しなかったというより、視界に「目標」として全く入らなかったという方が正しいです。

「賞」は黒川先生のような大ベテランの方が受賞するものだと思っていたからです。

いざ、頂いてみると嬉しさももちろんありましたが、今後の作品は今回以上の物を目指さなければならないという謎のプレッシャーもあります。

私の作品は今後どうなっていくのかわかりませんが、今は少し迷走中の試行錯誤を繰り返しています。

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