黒猫にリボンをつけようか迷いましたが、このシルエットには必要ないかもしれないと思ってマットな質感の糸で刺しました。
- 地刺しは流れ文様と決めています。
- 革がダメになっても絽を外して、再度加工ができます。
地刺しは流れ文様と決めています。
猫のモチーフを刺すときは地刺しを「流れ文様」に決めています。
裏地は出来る限り猫柄を使うようにしています。
この作品は間に合いませんでしたが、メガネケースなどはすべて裏地は猫柄にしています。
とてものスリムな猫ちゃんをイメージして刺しましたが 猫ちゃんに見えているでしょうか?
もう少し凶暴かつ獰猛なネコ科の動物に見えていたらシルエットのラインをもう少し丸くした方が良いと思っています。
黒い猫といえば竹久夢二さんの書いた絵が思い浮かぶ方が日本人の着物愛好者の中では多いかもしれません。
竹久夢二さんは、私は大好きとは言い難く、印象に残る美人画や、可愛らしい少女を書く画家の方という印象を持っています。
都内にある竹久夢二美術館には行ったことがありません。近いようで遠く感じます。
岡山県の後楽園に行った時に細い川を越えた向かい側に夢二美術館がありました。
そこは一度だけ行ったことがありました。
こじんまりとした美術館で、他に見ている方もいなかったので、静かに展示を見て歩くことができました。
ちょうど 6月下旬か日7月上旬だったと思います。
浴衣を着た女性の絵が展示してあって、その浴衣の柄が白地に藍染だと思いますが、綺麗だったなぁという今の記憶があります。格子柄だったか、何か夏の花だったかは忘れてしまいました。
白地に藍で書いてある涼しげな浴衣で藍と言ってもとても濃いものではなくわりと明るめの青でした。
真夏に浴衣を着ると実は暑いことが分かります。
浴衣の生地にもよるという方もいます。何を着ても暑いという方もいます。
私はどっちもだなぁと思っています。
夏物とはいえ、帯を巻くのだから麻素材の帯でも暑いです。
それをぐっとこらえて、見る方に涼を感じてもらえたらいいなと思って夏着物や浴衣をお召しになっている方が多いと感じます。
竹久夢二さんと同じような取り上げられ方で中原淳一さんもいらっしゃいます。
中原淳一さんは女性と白い猫の絵を書いていらっしゃいます。
こちらの女性はショートカットで 映画の 「ローマの休日」で オードリーヘプバーンが髪の毛をショートカットにしたような感じの女性で白猫を抱いています。
瞳と言うか目が大きすぎて、少女漫画の原型を見るようです。
その中に少しだけ「この世ならざるもの」を感じてしまいます。
竹久夢二さんの絵も同じ印象を持つ絵がたくさんあります。
私は、真っ白な猫は家族として迎えたことはないですが、真っ黒な猫は家族として一緒に暮らしたことがあります。
まだ10代の頃ですがとても懐いてくれて可愛かったです。
私が家族に迎えた猫たちの中で男の子は、その10代の時の黒猫と、今一緒にいてくれるコルトだけです。
日常生活に猫がいないと一部が欠けているような気がするので、先に死んでしまうことが分かっていて、とても悲しいこともいっぱいわかっているのに、それでも猫と一緒に暮らすことを選んでいます。
猫のモチーフを刺したいと思うのは、コルトとガラちゃん、それから今まで一緒に生活した猫たちのことを私の個人的な気持ちの範囲で残しておきたいという気持ちが少しあるのかもしれません。
これからはどんな猫を絽ざし刺してみようか、シルエット変えようかなどを考えていると、「不思議の国のアリス」の チシャ猫のように少し「この世ならざる猫」も絽刺しで刺してみたい気がします。
革がダメになっても絽を外して、再度加工ができます。
絽ざしを加工したものは絽刺し以外がクタクタになって隅が擦れてきても絽刺しを外して他の革か厚地の布で再度加工することができます。
絽ざしが汚れていないことが前提ですし、表面の摩擦が少なくて糸が毛羽立っていないことが前提となります。
なかなかそこまで使い込んで頂いたことがまだないので、修理をしたことはないですが、私の作品を使い込んでくださる方が現れたらいいなと思っています。